コラム  


計量制度と貨幣制度

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人類がものを計り始めた最初の量は時間ではないかと言われています。
天体の運行などを見て、時間に興味を持ったものと思われます。
更に進んで道具や掘っ立て小屋を作るようになると、長さを計るようになり、食糧を貯蔵するのに体積を測るようになりました。
物々交換の時代から時代が進むと、金・銀・宝石がお金の役目をするようになり、その重さを計るためにはかりが必要になってきました。
エジプトには紀元前5000年前(7000年前)の天秤が発掘されております。
このようにハカリはお金の重さを量るために作られたものであります。その後用途を広げ、香料や薬も計るようになりましたが、お金の重さを量ることから出発した関係で、重さの単位とお金の単位が同じという時代が長く続きます。
日本の計量制度は古来から尺貫法を採用しており尺貫法の重さの単位は匁(もんめ)であり、1000匁(375グラム)でした。
いわゆる穴あきの1文銭1000枚を紐に通すと1貫文になります。江戸時代の武士の俸給は100石とか千石とか言いましたが、戦国時代までは武士の俸給は銭100貫を与えるといった記録があります。
今はメートル法の時代であり、円の時代になりましたが、1円硬貨の重さは正確に1グラムの重さに造られています。
今でもイギリスでは貨幣の単位も計量の単位も同じポンドが使われています。日本では江戸時代までは両替商(江戸時代の金融機関)が天秤を使っていましたが金貨・銀貨を正確に計るため精密な天秤と正しい分銅は欠かせない道具でした。その両替商の看板は分銅でした。
この分銅の形が、現在地図上で銀行をあらわす記号に使われています。

分銅の豆知識  ・・JCSSとは・・・

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JCSS(Japan Calibration Service Systemの略称)とは、1993年に施行された計量法トレーサビリティ制度で、計量器の校正または標準物質の値付けを行なう者(校正事業者 cakibration laboratory)を対象とした登録制度です。
JCSSの登録事業者が発行するJCSSロゴマーク付きの校正証明書は、国家標準とのつながり(トレーサビリティ)を証明するものです。JCSS校正証明書付きの標準器を持っていれば、国家標準までトレーサブルであることが保証されますので校正の信頼性については全く問題ないことになり、ISO9000や認定試験所などの計量器の管理項目をクリアすることができます。
また、ILAC-MRA(ILAC:国際試験認定協力機構)のロゴマーク付のJCSS校正証明書は国際相互承認しているので海外でも問題無く通用します。

オリンピックと計測

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昭和初期(今から6-70年前)吉岡正徳という短距離の選手がいました。世界トップクラスの実力の持ち主で「暁の超特急」と持てはやされていました。彼の100メートルの記録が10秒3でした。現在の100メートルの世界記録は9秒76とかで100分の1秒で争われています。
100分の1秒を正確に計測できるようになったことは、計測技術の進歩によるものでそのこと自体大変素晴らしいことであります。更に現在の計測技術をもってすれば1000分の1の計測も可能であります。
ところが、1000分の1秒の計測には別に問題がありましてIOCでは採用していません。それは次のような理由からです。100メートルを10秒で走るということは1秒で10メートル走ることになります。10分の1秒では1メートル、100分の1秒では10センチメートル、1000分の1秒では1センチメートル走ることになります。
若し、A競技場のトラックが5ミリメートル短くてB競技場のトラックが5ミリメートル長いと1000分の1秒記録が違って来ます。5ミリメートルの誤差があっても駄目ということは100メートルのトラック(或いは50メートルのプール)を造るのにミリメートル単位の精度が要求されることになります。世界中の国の競技場のトラックやプールにこの精度を要求することは現在の施行技術では不可能に近く、現実的ではありません。IOCが100分の1秒で記録を表示するのはこのような事情であります。

食の安心・安全はNASA(アメリカ航空宇宙局)に通ずる

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その昔、ケネディ大統領は1960年に人間を月に送ると公約しました。この時(総ての計測機器をNBS(国際標準局)にトレーサブルでなければならない)としました。
なぜかというと、宇宙船アポロを組み立てるには何万もの部品を組み合わせるからです。
部品を作るときの物差しの基準が違えば組み立てることは出来ません。
万が一誤差を生じれば、たとえ0.0001ミリであろうとも大事故につながる恐れがあります。
計量の世界ではトレサビリティ(巡ることが出来る、遡ることが出来る)が早くから確立されています。日東イシダで製造する秤は総て基準分銅で正確か、どうか検査をしますが、この基準分銅は当社の保有する特級基準分銅で定期的に校正されその精度が記録され保管されております。又この特級基準分銅は筑波の計量研究所にある国家標準原器で校正された成績書がついております。更に筑波にある国家標準の原器はパリーにある世界標準の原器と0が9桁くらのミリグラムの精密さで保管されております。
BSE問題が発生して牛肉のトレサビリティの重要性が認識されるようになりましたが、当社では社内で蓄積された質量のトレサビリティのノウハウを活かして、計量の都度何処の牧場でどんな餌を食べて成長したか、何処の屠場で屠殺され、何処のカット工場で加工されたかなどの情報を秤に取り込みその情報をラベルのバーコードから店頭で読み取れるシステムを構築して多くの販売現場に提供しています。
これからは牛のみならず、豚、鶏は勿論、魚、更には野菜のトレサビリティのシステムの開発を通じて食の安心・安全に貢献して行きたいと考えています。