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イシダ博物館【国語】

真理」を測る西洋の心

西洋で古代からあった基本的な単位に「キューピット」があります。その起源は紀元前6○○○年頃のメソポタミア地方で、ここからエジプトや中近東諸国へ広がっていきました。これは、王様のひじから中指の先までの長さを基準にしたもので、ものさしや巻尺も生まれ、エジプトのピラミッドの建設や、ナイル川の開削に用いられていました。

 
キューピットをもとにした質量や体積の単位も制定され、国や時代によって違いはありますが、度量衡の制定が進んでいきました。これらの制度は耕地や河川を測るといった、実用のために必要だったのです。

 古代のエジプト人やメソポタミア人は、地球が球体であったことを知っていたといいます。エジプトのピラミッドの外周は、1分(1度の10分の1)の角度に相当する地球の子午線の長さ1852メートル)の約半分にあたることや、あるいは、ピラミッドの一面をわずかの誤差で子午線に平行させたことなど、その優れた技術以上に彼らが地球を測っていたことに驚かされます。また、バビロニア人は振り子の等時性を知っていて、時間を計ったり暦を作ったりするために用いたといいます。

 
これらは、宗教的あるいは実用的に用いられたものですが、実用のため以外にも度量衡が必要になってきました。それは、学究的な欲求によって数で真理を解き明かすためです。ギリシアで花開いた思想と哲学の中で、ピタゴラスが数を世の中の絶対基準としたのも真理を数に求めようとした表れです。

 こうした、数と真理を同一視する考え方は、既に古代エジプトにおいてあったとされます。死後の魂「心臓」と正義と真実の象徴「羽毛」を天秤にかけている絵画がそれです。これは、天秤に神のカが宿っているという考えの表れでもありますが、キリスト教においても、「最後の審判」において神が人の魂を正義の重さで測っています。このように、数を基準に明晰に論理を展開していく姿勢は、西洋の科学や学間の探求心や、物事を割り切っていく合理的な考え方に反映されているといえるでしょう。

 

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